桃色うきぐも自己紹介その2

私の父は一代で大きな個人病院を作り、理事長として、地域医療においても現代医学界においても大変活躍した医師でした。自分の能力を信じ切っていて、どんどん自分のやりたい医療を実践していました。それこそ飛ぶ鳥を落とす勢いでした。

私は長女として生まれ、物心ついた頃には家庭を、家庭のことは妻に任せきりで仕事しか頭の中にない、家の中でも自分の流儀を押し通す父と、そんな父を苦にしていつもストレスを抱える苦労性の母が作る、常に緊張感のある息苦しい空間のように感じていました。

小さい頃はやはり母が可哀想で、父に対しては、どれだけ外で立派な仕事をしているのか知らないが、身近な人を悲しませるとは碌でもない人間だ。と思い反発心を募らせていました。

家庭内での暴言、暴力もありましたから、権力に対する不信感のようなものは常にありました。

子供時代の私はどちらかというと内向的で、形而上的なものに惹かれる傾向はあったように思います。しかし今に至るまで、超常現象が見えたり聞こえたりということは一切なくて、ごく普通の子供でした。

10年近く前にこの父が認知症を発症し、強制退職となり、老老介護の末やむなく施設に入り、母も体調を崩したため、古い実家がポツンと残されました。

膨大な蔵書の整理のため書庫に入ってみて驚いたのは、中村天風、稲森和夫、西野流呼吸法、岡潔河合隼雄はわかるとして、夥しい宗教や精神世界の本がありました。

スウェーデンボルグ、シャーリーマクレーン、バシャール、高橋信次法華経クリシュナムルティetc.. 私が持っていたり、欲しいなと思っていた本も大体揃っていました。

現世での華やかな成功をものにしながらも霊的な進化への強い希求のあった、父の相反する内面を感じ、私は父に似たんだなと思い、父との距離がぐっと縮まる思いがしました。